娘の桜子は全盲のため、日常生活の中でいろいろな工夫が必要です。なるべく沢山のことを体験させてあげたいと思い、日々奮闘しておりますが、現実的に難しいことも多く、ですからてんやく絵本を読むことで経験できないことを解決してくれています。
目からの情報がない桜子にとってはてんやく絵本を読むことで世界が広がり、日々暮らしている中で関わることがない出来事だったり、人の感情、いろいろなことを絵本を読むことで体験できています。てんやく絵本は、点字だけでなく絵の形に切った透明シートが貼ってあったり、そのページに何がどこに描いてあるかを点字で書いてくれています。通常の絵本では、想像することが困難ですが、てんやく絵本を読むことで簡単に想像することができます。時折、桜子が物語の内容について質問してくることもあり、そのやりとりを通じて、私たちはさらに親子の絆を深めています。どのように説明したら理解しやすいか、目が見えないと何に疑問を抱くのか、何に興味を引かれるのか、目が見える人は当たり前のことも桜子にとっては分からない場合があるのです。桜子の立場になって考え、伝え、新しい発見を得たり、親子共に心の成長を感じたりすることがあります。
また、てんやく絵本を読む時間は、ただ絵本を読むだけではなく、家族にとっての貴重なコミュニケーションの場でもあります。4歳の弟がいるので最近では「絵本読むよ !」と弟に声をかけ、桜子が弟にてんやく絵本を読んでくれたりします。弟もすごく楽しそうにしているので、姉弟間のコミュニケーションもとれ、いつもは喧嘩ばかりしているのですが、てんやく絵本を読んでいる間はとても仲良しです。今後も、桜子にはもっとたくさんのてんやく絵本に触れてほしいと思っています。物語の中に溢れる想像力は、目が見えない桜子にとって大きな力となりてんやく絵本を通じて描く想像力を育むことができ、桜子の世界が豊かになると思っています。
てんやく絵本はただの読み物ではなく、もう生活の一部です。これからも、桜子にとって楽しい物語の世界を広げていきたいと思っています。
(読者 永田菜摘)